女 詞 (おんなことば)

太宰 治 アンソロジー
き りぎりす/恥/千代女/十二月八日/葉桜と魔笛/待つ/皮膚と心/誰 も知らぬ/雪の夜の話
 6月19日の「桜桃忌」を控えて、太宰が女性一人称独白体で書いた九作品を集めて刊行します。太宰が結婚してから戦争が始まるまでに書いた作品です。
 本書の解説では、現物が未公開だった太宰の手紙を引用して吉田和明さんが、当時の文壇と出版界の楽屋裏に切り込んでいます(資料収載)。この手紙は『斜 陽』の編集者・野原一夫さんが持っていたものです。初公開です。
 太宰治が「全集」の編集者に書き送った直筆手紙の書影→ [1] [2] [3]
 太宰は結婚してから小説家として世間に認められようと煩悶していたようです。だからこそ、これらの作品を書くときには手を抜かなかったはずです。力の入れようも違ったでしょう。太宰は自己憐憫と自己愛惜の作家でした。
 今年は映画の分野でも、「斜陽」(佐藤江梨子/温水陽一)や「ヴィヨンの妻」(浅野忠信/松たか子)など三作品が公開されます。
 芥川賞作家の川上未映子さんは今年1月6日の「毎日新聞・新春座談会」で太宰の女性一人称の小説について次のように語っています。
――女性の視点というより、視点が二つある。でも、もう一つの視点は、親友の男の人でも全然いい。感嘆するのは、女性の語りだからではないんです。でも当時は、女性としての語りの巧みさが評価されてたんですよねえ……。もちろん男性から。
――ひよっとして私も今、改めて『女生徒』(本書には未収載だがほとんどの文庫に入っている)を読めば、「すごく女の人の気持ちが分かっている!」と思うのかもしれませんね」(笑い)
◆定価1400円+税
◆四六判 192頁 並製
◆ISBN978-4-7736-3309-2 C0095
 (2009年5月28日)

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